JR北海道は平成28年11月、自らの厳しい経営状況を背景に「JR単独では維持することが困難な線区」を発表し、その対象の一つとして石北本線(新旭川~網走間)を挙げました。
石北本線は人口減少や自家用自動車普及を背景に利用者数が減少しているとともに、車両や橋やトンネルなどの老朽化に伴う、近い将来の更新費用が巨額になることが見込まれています。
存続するに当たり、JRは沿線自治体からの費用負担を求めていますが、鉄道維持に係る費用は沿線自治体が負担できる金額ではないため、国からの支援が不可欠な状況です。
北海道は、広大な土地に人が点在する広域分散型の地域構造になっていますが、それだけに鉄道だけでなく、医療、教育などの生活基盤は都市部と比べると高コストにならざるを得ません。しかし、広い土地があって、人が少ないからこそ、広大な農地により食料を生産し、豊かな森林が木材を供給するとともに、温室効果ガスを吸収し、自衛隊の良好な訓練場を提供することができるのです。デメリットの裏には、こうしたメリットがあり、都市住民もこの恩恵を享受しています。
こうした本道の国家戦略上の重要性を維持する上で、石北本線は重要な役割があります。単なる赤字地方路線の問題ではありません。
また、遠軽町は、鉄道とともに発展してきた町であることを忘れてはなりません。
遠軽市街地は大正4年に鉄道が開通したことにより、木材取引などが活発になり、急速に発達したと言われています。
大正13年には関東大震災などの影響により、すでに計画されていた旭川~遠軽間の鉄道(旭遠線)建設工事の着工が延期されたことを受け、遠軽村(当時)の市原多賀吉を団長とする村民52名が上京し、政党や鉄道大臣に請願活動をしました。彼らは地元から送られたカボチャを弁当にして携え、「鉄道がないため米が高価でカボチャばかり食べている!」などと訴え、その異様な光景が東京の新聞や雑誌にも大きく取り上げられたことで、全国的な同情を浴びました。悲痛なまでの彼らの訴えに取材していた記者や警護に当たる警察官までも涙をにじませたといわれます。
この陳情団は「カボチャ団体」と呼ばれるようになり、彼らの陳情が実り、翌年には工事が着工されることになりました。
このほかにも、旭遠線の分岐駅をめぐり遠軽の信太寿之と安国の須見勝三郎が私財を投じて誘致運動を繰り広げ、互いに破産状態となった・・・などの話が残されており、鉄道にかける当時の住民の思いは並々ならぬものでした。
こうした町の発展になくてはならなかった鉄道が、今存続の危機を迎えています。私たちも先人の思いを受け継ぎ、地域の実情を声高に訴えていきましょう。
鉄道は私たちの生活を支える非常に大切な財産です。
鉄道は一度廃線になったら元に戻ることはありません。
私たち1人1人が鉄道の重要性を理解し、そのために行動し、そして、北海道の鉄道の必要性を全国に発信するという「オール北海道」の取組みを進めていかなければなりません。
自動車はとても便利な乗り物です。車で移動していたものすべてをJR利用に変えなくてもいい、自家用車を利用する10回に1回でもJRを使ってくれればいいのです。
道民約500万人が年間あと4,000円JRを利用すれば「500万人×4000円=200億円」の増収となり、JR北海道が抱える年間の赤字額とほぼ同額になるという計算が成り立ちます。
私たちがもっと鉄道を利用するとともに、海外を含め道外から来る観光客に鉄道を利用してもらえるよう様々な取り組みを進めていかなければなりません。
私たち道民1人1人がこの鉄道を守り抜くといった共通の認識をもって、自分たちのできることから取組みを進めていきましょう。
(JR石北本線応援団ウェブサイトhttps://sekihoku-honsen.jp/から転載)
遠軽町では、平成29年に町、商工会議所、商工会、観光協会が「遠軽町石北本線利用促進協議会」を結成し、石北本線の利用促進や地域住民のマイレール意識を高めるための取り組みを進めています。
遠軽町石北本線町外者利用促進助成金 | 石北本線を利用して遠軽町に来町し、町内のホテル・旅館等に宿泊した方に対し、次の区分により助成します。 (1)往復鉄道利用 4,000円 (2)片道鉄道利用 2,000円 ※助成額に満たない鉄道利用については助成対象外となります。 |
---|---|
遠軽町石北本線団体利用促進助成金 | 町民5人以上のグループで鉄道を利用する場合、1グループ3万円を上限に鉄道利用額の半額を助成します。 ※事前に申込が必要です。 ※部活動での利用は年度内1回までに限ります。 |
オホーツク圏活性化期成会石北本線部会において土日祝日に沿線市町が連携して実施しています。令和6年度も実施予定ですが、実施日については未定です。
遠軽町による実施日、便が決まりましたら、このページでお知らせします。
遠軽町の鉄道、バスなどの公共交通の情報を1冊につめ込んでいます。
石北本線存続に向けた町民意識高揚のため、町内小中高生から公募して決定したキャッチフレーズを定め、それをロゴマークにして活用しています。
石北本線の置かれた現状を理解するとともに、地域でできることを考えるため、次のとおりフォーラムを開催しました。
○開催日 令和元年6月26日
○会場 ホテルサンシャイン
○講師 岸邦宏先生
石井至先生
安彦良和先生
○参加者約120名
JR石北本線応援団ウェブサイト(オホーツク圏活性化期成会石北本線部会が運営)
北海道鉄道活性化協議会(官民によるオール北海道で構成)ウェブサイト