○遠軽町まちづくり自治基本条例
平成19年3月12日
条例第9号
目次
前文
第1章 総則(第1条・第2条)
第2章 基本理念(第3条)
第3章 基本原則(第4条―第6条)
第4章 町民等の権利及び責務(第7条―第11条)
第5章 議会等の役割及び責務(第12条―第14条)
第6章 町長等の役割及び責務(第15条―第17条)
第7章 執行機関(第18条―第20条)
第8章 町政運営
第1節 情報の共有及び説明責任(第21条―第24条)
第2節 信頼される行政の推進(第25条―第31条)
第3節 参画及び協働の推進(第32条―第38条)
第9章 連携及び協力(第39条―第41条)
第10章 最高規範性及び条例の見直し(第42条・第43条)
附則
わたくしたちは、北海道の屋根と呼ばれる大雪山系から広がる豊かな森林(もり)と、オホーツク海に注ぐ清流(みず)「湧別川、生田原川」の流れとともに歩む遠軽の町民です。
わたくしたちは、地方分権の時代にあって、地域のことは地域の責任のもとに決定し、個性豊かな地域社会を築いていくためには、町民、議会及び町がそれぞれの役割と責任を果たし、相互に連携を深め、協働して、新しい時代の進路を拓いていくことが求められています。
まちづくりの推進にあたっては、地方自治における住民主権の原則にのっとり、情報を共有し、町民自らの責任において町政に参画するとともに、互いの立場を尊重し、協働してまちづくりを進めます。さらに、町外の人々との交流を深め、相互に連携を図りながら広域的なまちづくりに努めます。こうした取り組みの中で、町民一人ひとりがまちづくりの主体であることを認識し、この町の将来に夢や希望を抱き、「ふるさと遠軽」を誇りに思う強い絆で結ばれたまちづくりをめざします。
わたくしたちは、まちづくりの全般にわたる指針として、基本となる理念や原則を明らかにするとともに、町民の町政への参画と協働に関する事項を定めることにより、住民自治を実現し、活力に満ち、ゆとりと豊かさの実感できる住みよい遠軽町を創っていくことを誓います。
ここに、すべての町民に共有され、遵守される最高規範として、この条例を制定します。
第1章 総則
(目的)
第1条 この条例は、遠軽町におけるまちづくりの基本理念を明らかにするとともに、町民、議会及び町の役割と責務、町政運営の基本原則並びに町民の町政への参画及び協働のまちづくりに関する事項を定めることにより、住民自治の実現を図ることを目的とする。
(1) 町民 町内に在住する個人又は町内で働き、若しくは学ぶ人をいう。
(2) 事業者 町内において、事業活動を行う者をいう。
(3) 町 町長、教育委員会、選挙管理委員会、公平委員会、監査委員、農業委員会及び固定資産評価審査委員会をいう。
(4) 協働 まちづくりの課題を解決するため、町民、議会及び町がそれぞれの果たすべき役割と責務を自覚し、互いの立場を尊重しながら相互に補完し、協力して取り組むことをいう。
(5) 参画 政策の立案から実施及び評価に至るまでの過程に参加し、意思決定に関わることをいう。
第2章 基本理念
(まちづくりの基本理念)
第3条 町民、議会及び町は、次に掲げる基本理念により、まちづくりを推進するものとする。
(1) 人を大切にすることがまちづくりの基本であることを認識し、互いを思いやるこころ豊かな人を育むことにより、健康で活力に満ち、安心して暮らせるまちづくりを進める。
(2) 豊かな自然環境を生かし、潤いのある快適な生活空間を形成することにより、人と自然が共生し環境に調和したまちづくりを進める。
(3) 郷土の歴史や伝統文化の保護・継承を図りつつ、産業及び文化の活性化並びに町民の福祉の増進を図ることにより、個性豊かな活力あるまちづくりを進める。
2 町民、議会及び町は、前項各号を実現するため、互いの立場を尊重し、相互に補完しながら、協働してまちづくりを推進する。
第3章 基本原則
(自律互助の原則)
第4条 まちづくりは、町民一人ひとりが自律の精神のもとに、互いに尊重し、助け合いながら継続的かつ創造的に進めていくことを基本とする。
(情報共有の原則)
第5条 まちづくりは、町民及び町が町政に関する情報を共有しながら進めていくことを基本とする。
(参画及び協働の原則)
第6条 まちづくりは、町民自らの責任において参画するとともに、町民及び町が相互理解のもとに、互いの立場を尊重し、協働して進めていくことを基本とする。
第4章 町民等の権利及び責務
(人権の尊重)
第7条 町民は、まちづくりの主体であることを認識し、自らの発言と行動に責任を持つとともに、一人ひとりが基本的人権を尊重する協働のまちづくりに努めなければならない。
(町民の権利)
第8条 町民は、町政に参画する権利及び町政に関する情報について知る権利を有する。
2 町民は、法令等に定めるところにより、行政サービスを受ける権利、選挙権、被選挙権、条例の制定改廃請求権、事務の監査請求権、議会の解散請求権並びに議員及び長の解職請求権等を有するほか、第38条に定める町民投票を請求する権利を有する。
(町民の責務)
第9条 町民は、行政サービスに伴う納税等の負担を分任する義務を果たすとともに、町と協働して地域社会の発展に寄与するよう努めるものとする。
(子どもの利益及び権利の尊重)
第11条 町は、子どもの最善の利益及び権利の尊重について啓蒙啓発を図るとともに、子どもが自らかかわる事柄について意見を表明し、参加できるよう支援するものとする。
第5章 議会等の役割及び責務
(議会に関する基本的事項)
第12条 議会は、町民の直接選挙により選ばれた議員によって構成される町の意思決定機関であるとともに、執行機関の町政運営を監視し、及び牽制する機能を果たすものとする。
2 議会は、条例の制定改廃、予算、決算等を議決する権限並びに執行機関に対する検査及び監査の請求等の権限を有する。
3 議会は、前2項に規定するもののほか、議会が担うべき役割を果たすための基本的事項について、別に定めるものとする。
(個人情報の保護)
第13条 議会は、個人の権利及び利益が侵害されることのないように、個人情報の保護に努めなければならない。
(議員の責務)
第14条 議員は、町民の信託に応えるとともに、議会が前2条に規定する議会の機能等を果たせるよう誠実な職務の遂行に努めなければならない。
第6章 町長等の役割及び責務
(町の責務)
第15条 町は、町政を運営するにあたっては、町民の福祉の増進を図るとともに、最少の経費で最大の効果を挙げるよう努めなければならない。
2 町は、町民のニーズに的確に対応し、行政サービスの満足度を高める町政運営に努めなければならない。
(町長の責務)
第16条 町長は、町を代表し、議会への議案の提出、予算の調整及び町税の賦課徴収等の事務を管理し、執行する権限を有する。
2 町長は、町民の信託に応えるとともに、町の事務の管理及び執行にあたっては、誠実に職務を遂行しなければならない。
3 町長は、町の職員(以下「職員」という。)を適切に指揮監督するとともに、町政の課題に的確に対応できる知識と能力を持った人材の育成を図り、効率的な組織運営に努めなければならない。
(職員の責務)
第17条 職員は、全体の奉仕者として誠実かつ効率的に職務を遂行するとともに、自らも地域の一員であることを認識し、町民との信頼関係を築くよう努めなければならない。
2 職員は、まちづくりに必要な能力開発及び自己啓発に努めなければならない。
第7章 執行機関
(執行機関の責務)
第18条 執行機関は、条例、予算その他の議会の議決に基づく事務、法令等に基づく事務を自らの判断と責任において誠実に管理執行しなければならない。
(意思決定の明確化)
第19条 執行機関は、町政に関する意思決定の過程を明らかにすることにより、施策及び事務執行の妥当性が町民に理解されるよう努めなければならない。
(執行機関の組織)
第20条 町は、効率的かつ機動的な活動ができるように、常に組織の見直しに努めなければならない。
第8章 町政運営
第1節 情報の共有及び説明責任
(情報の公開及び共有)
第21条 町は、町民の知る権利を保障し、公正で開かれた町政運営を進めるため、町政に関する情報を公開し、提供することにより、町民との情報の共有に努めなければならない。
(情報の収集及び管理)
第22条 町は、町政に関する情報を的確に収集し、速やかにこれを提供できるよう統一された基準により、管理しなければならない。
(説明責任)
第23条 町は、町政に関する活動状況又は意思決定の過程について、町民に分かりやすく説明する責任を有するとともに、情報公開等の請求を受けたときは、誠実に応答しなければならない。
(個人情報の保護)
第24条 町は、個人の権利及び利益が侵害されることのないように、個人情報の収集、利用、提供、管理等について必要な措置を講じなければならない。
第2節 信頼される行政の推進
(総合計画の策定)
第25条 町長は、将来のまちづくりを総合的かつ計画的に進めるため、基本構想及び基本計画(以下「総合計画」という。)を策定しなければならない。
2 町長は、総合計画を策定するにあたっては、町民の意見が反映されるよう努めなければならない。
(行政サービスの提供)
第26条 町は、町民のニーズに的確かつ柔軟に対応するため、組織内部の調整を図り、総合的な行政サービスの提供に努めなければならない。
(行政手続)
第27条 町は、町政運営における公正の確保と透明性を図り、町民の権利及び利益の保護に資するため、行政手続に関する事項を定めなければならない。
(行政評価)
第28条 町は、効率的かつ効果的な町政運営を行うため、政策等の成果及び達成度を客観的に評価し、その結果を公表するとともに、翌年度の施策、事務事業、予算編成等に反映させなければならない。
(財政運営の原則)
第29条 町は、財源を効率的かつ効果的に活用し、自主・自立の財政運営を行い、財政の健全化に努めなければならない。
(財政状況等の公表)
第30条 町長は、財政状況及び財産の保有状況を町民に分かりやすく公表しなければならない。
(意見、要望、苦情等への応答義務等)
第31条 町は、町民からの意見、要望、苦情等(以下「意見等」という。)があったときは、速やかに事実関係を調査し、応答しなければならない。
2 町は、前項の規定による応答を迅速かつ適切に行うため、対応の記録に努めなければならない。
3 町は、町民からの意見等を尊重し、これを町政運営に反映するよう努めなければならない。
第3節 参画及び協働の推進
(参画及び協働)
第32条 町は、町民の意見等がまちづくりに反映されるよう町民の町政への参画機会の拡充に努めなければならない。
2 町は、協働のまちづくりを推進するにあたっては、対等・協力の原則に基づき、目的及び情報を共有し、相互理解のもとに信頼関係を築くよう努めなければならない。
(政策決定過程への参画)
第33条 町は、政策の立案、実施、評価等の決定過程に町民が参画できるよう配慮しなければならない。
(委員の公募)
第34条 町は、審議会、審査会、委員会その他の附属機関及びこれに類するものの委員に、公募による委員を加えるよう努めなければならない。
(会議の公開)
第35条 町は、会議を公開することが適さないものを除き、原則公開とする。
(地域諸団体との連携)
第36条 町は、地域の社会活動に寄与する諸団体、公共性の高い営利を目的としない民間団体等と連携し、協力してまちづくりを進めなければならない。
(コミュニティの充実)
第37条 町は、多様化する社会活動を踏まえ、地域に根ざしたコミュニティ活動の役割を尊重し、守り、育てるよう努めなければならない。
(町民投票)
第38条 町民又は議会は、町政運営上の重要事項(以下「重要事項」という。)について、町長に対して町民投票を請求することができる。
2 町長は、重要事項について、自ら町民投票を発議することができる。
3 町民投票に参加できる者の資格その他町民投票の実施に関し必要な事項は、別に条例で定める。
第9章 連携及び協力
(町外の人々との連携)
第39条 町民は、町外の人々と社会、経済、文化、学術、芸能、スポーツ、環境等に関する取り組みを通じて交流を深め、その知恵又は意見をまちづくりに活用するよう努めるものとする。
(他の自治体等との連携)
第40条 町は、共通する課題を解決するため、国、北海道その他の自治体と相互に連携を図りながら、広域的なまちづくりに努めるものとする。
(国際交流)
第41条 町は、地方自治の確立と発展が国際的にも重要なものであることを認識し、まちづくりその他の分野における協力、支援等を通じて国際交流に努めるものとする。
第10章 最高規範性及び条例の見直し
(条例の見直し等)
第43条 町は、この条例の施行後4年を超えない期間ごとに、この条例の各条項が社会経済情勢等の変化に対応し、所期の目的を達成しているかどうかを総合的に検討する機関として、町民を主体とした遠軽町まちづくり自治基本条例推進委員会(以下「委員会」という。)を設置する。
3 委員会に関し必要な事項は、別に条例で定める。
附則
この条例は、平成19年4月1日から施行する。
附則(平成26年3月24日条例第5号)
(施行期日)
1 この条例は、平成26年4月1日から施行する。
(遠軽町町民投票条例の一部改正)
2 遠軽町町民投票条例(平成19年遠軽町条例第11号)の一部を次のように改正する。
〔次のよう〕略
(遠軽町まちづくり自治基本条例推進委員会条例の一部改正)
3 遠軽町まちづくり自治基本条例推進委員会条例(平成24年遠軽町条例第15号)の一部を次のように改正する。
〔次のよう〕略
(遠軽町議会基本条例の一部改正)
4 遠軽町議会基本条例(平成25年遠軽町条例第15号)の一部を次のように改正する。
〔次のよう〕略
附則(平成30年3月19日条例第6号)
この条例は、公布の日から施行する。