○遠軽町環境基本条例

平成17年10月1日

条例第115号

目次

前文

第1章 総則(第1条―第7条)

第2章 環境の保全及び創造に関する基本的施策

第1節 環境基本計画(第8条)

第2節 町が講ずる環境の保全及び創造のための施策等(第9条―第22条)

第3節 地球環境保全のための施策(第23条・第24条)

第3章 審議会その他の合議制の機関(第25条)

附則

オホーツク地域は、さわやかな空気、清らかな水、広大な緑の大地、そこに息づく様々な野生生物等豊かで優れた自然環境に恵まれた地域であり、この自然の恵みの下に、北国らしい生活を営み、個性ある文化を育んできた。

人類の存続基盤として欠くことのできない環境は、自然の生態系の微妙な均衡の下に成り立つものであり、これまでのような大量生産、大量消費及び大量廃棄型の社会経済活動を続けていくことは、私たちを取り巻く地域の環境のみならず地球全体の環境をも脅かすものであることが広く理解されてきた。

私たちは、健康で文化的な生活を営むため、良好で快適な環境の恵みを享受する権利を有するとともに、現在と将来の世代が共有する限りある環境を、良好で快適なものとして将来に引き継ぐ責務を有している。

このため、私たちは、環境への負荷が人の様々な活動から生じているということを心に留め、自らの行動を負荷の少ないものに変えて行き、社会経済構造の在り方や生活様式を見直すことが求められており、自然との関わりの中で育まれてきた先人の豊かな知恵や、現代に生きる私たちが見落としてきたものを大切に使い回していくといった生活の知恵に学びながら、人と自然との共生を基本として、環境への負荷の少ない社会を築いて行くことが必要である。

また、都市化の進展により身近な自然が減少する中で、自然とのふれあいや快適な環境づくりへの関心が高まってきており、失われた自然を回復し、オホーツクの風土にふさわしい、うるおい、やすらぎ、ゆとり等の心の豊かさが感じられる快適な環境の積極的な創造に取り組むことが重要である。

このような考え方に立って、良好な環境を保全し、快適な環境を維持し、及び創造することにより、環境への負荷の少ない持続的発展が可能な循環型の社会をつくり上げるため、町民の総意として遠軽町環境基本条例を制定する。

第1章 総則

(目的)

第1条 この条例は、良好な環境の保全並びに快適な環境の維持及び創造(以下「環境の保全及び創造」という。)について、基本理念を定め、町、事業者及び町民の責務を明らかにするとともに、環境の保全及び創造に関する施策の基本となる事項を定めることにより、環境の保全及び創造に関する施策を総合的かつ計画的に推進し、もって現在及び将来の町民の健康で文化的な生活の確保に寄与することを目的とする。

(定義)

第2条 この条例において、次の各号に掲げる用語の意義は、当該各号に定めるところによる。

(1) 環境への負荷 人の活動により環境に加えられる影響であって、環境の保全上の支障の原因となるおそれのあるものをいう。

(2) 地球環境保全 人の活動による地球全体の温暖化又はオゾン層の破壊の進行、海洋の汚染、野生生物の種の減少その他の地球の全体又はその広範な部分の環境に影響を及ぼす事態に係る環境の保全であって、人類の福祉に貢献するとともに町民の健康で文化的な生活の確保に寄与するものをいう。

(3) 公害 環境の保全上の支障のうち、事業活動その他の人の活動に伴って生ずる相当な範囲にわたる大気の汚染、水質の汚濁(水質以外の水の状態又は水底の底質が悪化することを含む。)、土壌の汚染、騒音、振動、地盤の沈下(鉱物の採掘のための土地の掘削によるものを除く。)及び悪臭によって、人の健康又は生活環境(人の生活に密接な関係のある財産並びに人の生活に密接な関係のある動植物及びその生育環境を含む。以下同じ。)に係る被害が生ずることをいう。

(基本理念)

第3条 環境の保全及び創造は、人類の存続基盤である限りある環境の恵沢を現在及び将来の世代が享受するとともに、良好で快適な環境が将来にわたって確保されるよう適切に推進されなければならない。

2 環境の保全及び創造は、人と自然との共生を基本として、環境への負荷の少ない持続的発展が可能な社会の構築に向けて、すべての者の自主的かつ積極的な取組によって行われなければならない。

3 地球環境保全は、地域の環境が地球全体の環境と深く関わっていることにかんがみ、地域での取組として進められるとともに、国際的な協力の下に推進されなければならない。

(町の責務)

第4条 町は、環境の保全及び創造に関する町の自然的社会的条件に応じた総合的かつ計画的な施策を策定し、及び実施する責務を有する。

(事業者の責務)

第5条 事業者は、その事業活動を行うに当たっては、これに伴って生ずる公害の防止又は自然環境の適正な保全のために、その責任において必要な措置を講ずる責務を有する。

2 事業者は、環境の保全上の支障を防止するため、物の製造、加工、販売その他の事業活動を行うに当たって、その事業活動に係る製品その他の物が廃棄物となった場合にその適正な処理が図られることとなるよう必要な措置を講ずる責務を有する。

3 前2項に定めるもののほか、事業者は、環境の保全上の支障を防止するため、物の製造、加工、販売その他の事業活動を行うに当たって、その事業活動に係る製品その他の物が使用され、又は廃棄されることによる環境への負荷の低減に資するよう製品の開発、廃棄物の減量等に努めるとともに、その事業活動において、再生資源その他の環境への負荷の低減に資する原材料、役務等を利用するよう努めなければならない。

4 前3項に定めるもののほか、事業者は、その事業活動に関し、環境の保全に自ら努めるとともに、町が実施する環境の保全及び創造に関する施策に協力する責務を有する。

(町民の責務)

第6条 町民は、環境の保全上の支障を防止するため、その日常生活において環境への負荷の低減に配慮し、公害の防止及び自然環境の適正な保全に努めなければならない。

2 前項に定めるもののほか、町民は、町が実施する環境の保全及び創造に関する施策に協力する責務を有し、地域の環境保全活動に積極的に参加するよう努めるものとする。

(施策等の公表)

第7条 町長は、環境の状況、環境の保全及び創造に関する施策の実施状況等を公表するものとする。

第2章 環境の保全及び創造に関する基本的施策

第1節 環境基本計画

(環境基本計画の策定)

第8条 町長は、環境の保全及び創造に関する施策の総合的な推進を図るため、遠軽町環境基本計画(以下「環境基本計画」という。)を策定しなければならない。

2 環境基本計画は、次に掲げる事項について定めるものとする。

(1) 環境の保全及び創造に関する長期的な目標

(2) 環境の保全及び創造に関する施策の方向

(3) 前2号に掲げるもののほか、環境の保全及び創造に関する施策を総合的かつ計画的に推進するために必要な事項

3 町長は、環境基本計画を定めるに当たっては、あらかじめ、遠軽町環境審議会の意見を聴かなければならない。

4 町長は、環境基本計画を策定又は変更したときは、遅滞なく、これを公表するものとする。

5 前2項の規定は、環境基本計画の変更について準用する。

第2節 町が講ずる環境の保全及び創造のための施策等

(町の施策の策定等に当たっての配慮)

第9条 町は、施策に関する計画の策定及び施策の実施に当たっては、環境の保全に十分配慮しなければならない。

(環境の保全上の支障を防止するための規制)

第10条 町は、環境の保全上の支障を防止するため、次に掲げる必要な規制の措置を講ずるものとする。

(1) 公害を防止するため必要な規制の措置

(2) 自然環境の適正な保全に支障を及ぼすおそれがある行為に関し、その支障を防止するために必要な規制の措置

2 前項に定めるもののほか、町は、人の健康又は生活環境に係る環境の保全上の支障を防止するため、必要な規制の措置を講ずるよう努めるものとする。

(環境の保全及び創造に関する協定の締結)

第11条 町は、環境の保全上の支障を防止するため、事業者等と環境の保全及び創造に関する必要な協定を締結するよう努めるものとする。

(環境の保全上の支障を防止するための経済的措置)

第12条 町は、事業者又は町民が自ら環境への負荷を低減するための施設の整備その他の適切な措置を執るよう誘導することにより環境の保全上の支障を防止するため、特に必要があるときは、適正な助成措置を講ずるよう努めるものとする。

2 町は、事業者又は町民が自ら環境への負荷の低減に努めるよう誘導することにより環境の保全上の支障を防止するため、適正な経済的負担を求める措置について調査等を行い、その結果、その措置が特に必要であるときは、町民の理解の下に、その措置を講ずるよう努めるものとする。

(環境の保全に関する施設の整備その他の事業の推進)

第13条 町は、下水道その他の環境の保全上の支障の防止に資する施設の整備その他環境の保全及び創造に関する事業を推進するため、必要な措置を講ずるものとする。

2 町は、公園、緑地その他の公共的施設の整備その他の自然環境の適正な整備及び健全な利用のための事業を推進するため、必要な措置を講ずるものとする。

(環境への負荷の低減に資する製品等の利用の促進等)

第14条 町は、環境への負荷の低減を図るため、町民及び事業者とともに、資源の循環的な利用、エネルギーの有効利用及び廃棄物の減量が促進されるよう努めるものとする。

2 町は、再生資源その他の環境への負荷の低減に資する原材料、製品、役務等の利用が促進されるよう努めるものとする。

(町民の意見の反映)

第15条 町は、環境の保全及び創造についての施策に町民の意見を反映させるため、環境の保全及び創造についての施策の在り方等について、町民から提言を受けるための措置その他必要な措置を講ずるものとする。

(環境の保全及び創造に関する学習の推進)

第16条 町は、事業者及び町民が環境の保全及び創造についての理解を深めるとともに、これらの者の環境の保全及び創造に関する活動を行う意欲が増進されるよう環境の保全及び創造に関する学習の機会の提供、広報活動の充実その他必要な措置を講じ、環境の保全及び創造に関する学習の推進を図るものとする。

(民間団体等の自発的な活動を促進するための措置)

第17条 町は、事業者、町民又はこれらの者の組織する民間の団体が自発的に行う緑化活動、再生資源に係る回収活動その他の環境の保全及び創造に関する活動を促進するため、必要な支援措置を講ずるものとする。

(情報の提供)

第18条 町は、事業者及び町民に対して、環境の状況その他の環境の保全及び創造に関する必要な情報を適切に提供するよう努めるものとする。

(調査の実施)

第19条 町は、環境状況の把握に関する調査並びに環境の保全及び創造に関する施策に必要な調査を実施するものとする。

(監視等の実施)

第20条 町は、環境の状況を把握し、並びに環境の保全及び創造に関する施策を適正に実施するために必要な監視、測定、試験、検査等について各関係機関と連携し、その実施に努めるものとする。

(国及び他の地方公共団体との協力)

第21条 町は、環境の保全及び創造を図るために、広域的な取組が必要とする施策について、国、北海道及び他の地方公共団体と協力して、積極的にその推進に努めるものとする。

(財政上の措置)

第22条 町は、環境の保全及び創造に関する施策を推進するため、必要な財政上の措置を講ずるよう努めるものとする。

第3節 地球環境保全のための施策

(地球環境保全の推進)

第23条 町は、地球環境保全に資する施策を積極的に推進するものとする。

(地球環境の保全の推進体制の整備)

第24条 町は、事業者及び町民との協力により、地球環境の保全を推進するための体制を整備するものとする。

第3章 審議会その他の合議制の機関

(審議会その他の合議制の機関)

第25条 町の環境の保全及び創造に関する基本的事項を調査審議するため、環境基本法(平成5年法律第91号)第44条の規定に基づき審議会その他の合議制の機関として、遠軽町環境審議会(以下「審議会」という。)を置くことができる。

2 審議会は、町長の諮問に応じ、次に掲げる事項について調査審議する。

(1) 環境基本計画の策定及び変更に関すること。

(2) 前号に掲げるもののほか、環境の保全及び創造に関する基本的事項に関すること。

3 審議会は、前項に規定する事項に関し、町長に答申するものとする。

4 審議会は、委員10人をもって組織する。

5 委員は、環境に関し識見を有する者及び公募による者のうちから町長が委嘱する。

6 審議会の会議は、審議する内容が公開することに適さないと認めるものを除き、原則公開とする。

7 委員の任期は、町長の諮問を受け調査審議し、答申をもって終了とする。

8 前各項に定めるもののほか、審議会の組織及び運営に関し必要な事項は、町長が定める。

この条例は、公布の日から施行する。

遠軽町環境基本条例

平成17年10月1日 条例第115号

(平成17年10月1日施行)

体系情報
第7編 生/第2章 保健衛生/第4節 環境保全
沿革情報
平成17年10月1日 条例第115号